武装してモスクワに進軍した民間軍事会社「ワグネル」を、ロシアのプーチン大統領は不問に付し、隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領はこれを国内に招き入れキャンプまで提供し、自国軍の強化訓練に利用しようとしている。 国連の安全保障理事会の常任理事国であるロシアと対等に交渉し、実力行使を躊躇させるその軍事力は、一私企業が一定の状況下で、巨大国家を凌ぐ力を持てることを意味した現代史において印象的な一幕となった。 これは軍事的な、極めてシンプルな物理的な形で目に見えたので、理解が容易なシチュエーションだと言える。しかし、経済においてはすでに同様の事案には枚挙に暇なく、今では日々、常にグローバル企業と国家とのせめぎ合いが激しく行われている。 各国の通貨が全体的に下落傾向が続いているのは、ただCOVID19によるパンデミック対策で金融緩和を行ったからではない。国家そのものの信頼、信用、権威が下落し続けているからだ。 国家の信用が通貨に与える影響をまざまざと見せつけた興味深いケースとして思い出されるのは、中国におけるビットコインブームである。 外貨購入に規制が強かった中国において、中間層~富裕層が自国通貨を猛烈な勢いで暗号通貨に替えていった。この購買力は非常に大きく、世界中の暗号通貨のバブルの立役者ともなった。慌てた中国当局が一気に取引を規制すると、バブルも歩調を合わせたように収まっていった。 また、当時アメリカで同様に暗号通貨に資産を移動させていた大きなグループが、アフリカ系アメリカ人たちであったのはワイには非常に興味深い。